人事「死亡理由をお聞かせください」

 

 

人事「死後の世界へようこそ。あなたのエントリーをお待ちしておりました。では、手始めに1分間で死亡理由をお聞かせください」

 

私「生きてることが嫌になったからです。なぜ嫌になったかというと、私は自分に向き合うことや嘘をつくことが苦手で、就職活動に行き詰ってしまい、安直な安心感を求め、死を選びました。生きている以上、就職活動に向き合わないとならない気がしたので」

 

人事「はいっ、ありがとうございます。1分より短いですが、まあいいでしょう。次はというとですね、天国か地獄か配属の配属ですが、基本的には本人の意向を聞くようにはしております。しかしながら必ずしもそこはご希望が通るわけではないということをご了承くださいませ」

 

私「地獄がいいです」

 

 

人事「ほう、こりゃあまた」

 

 

私「天国って、人生の成功者が行くところでしょう。私には到底似合いません。成功者だらけの環境でやっていけなかったのですから、こうして死んだわけですし。それに天国では、地球を上から見渡して、自分の家族が悲しむ姿や、恋人の姿を見ないといけないんでしょう。私は見たくありません。恋人はいないですし。」

 

人事「お言葉ですが、それでは現世と天国が嫌だから地獄を選んだように思えるのですが…。私どもは、地獄でならないといけない理由を知りたいのです。そんな生半可な気持ちで来られるほど、地獄は甘いところじゃないですよ」

 

私「ありがとうございます」

 

人事「では、面接はこれにて終了です。本日の結果に関してですが追ってご連絡しますのでしばしお待ちくださいませ。最後に聞きたいことはありますか?」

 

私「不採用であった場合どうなるんでしょう」

 

人事「もう一度エントリーし直してもらうことになります」

 

私「それでは、自然死した人々はいったいどのようにしてこの世界に来たのですか」

 

人事「コネ入社です。天下りのポストみたいなもんで、まあ、長生きへの功労として死ぬ権利を与えているので」

 

 

私「それでは、極悪人は?」

 

人事「インターンシップ参加者のようなもんです。極悪人の場合天国にはいけませんので、地獄への死亡理由を聞く間も無く配属が決定しますので、多少は有利でしょうね。死んだあとために前世で悪事を働いたわけですので。…質問は以上でよろしいでしょうか?」