ランボルギーニも虫刺されの痕も要らない
知り合いの男の子がタイに風俗旅行に行くそうなんですけど、「一回2000円くらいなんだっけ?」と言ったら「そんなに安くないよ」と言われました
そりゃそうですよね、一回2000円だったらこのクッションの方が高いからね
一番くじの轟くんがタイの嬢との本番より高いってめっちゃなんか面白い
てかタイじゃないけど日本の風俗って本番行為で1-2万円なんですね
轟くんのプライズ缶バッジ2個分なのな〜って思うとよくわかんなくなってきましたね
先に言った知り合いの男の子はきっと将来お金持ちになります
若い頃は風俗行って、合コンして、会社名で女を抱き、そこそこの年齢になったら結婚して、賢くて可愛くてエロい奥さんを捕まえて、出世して、ランボルギーニをキャッシュで買って週末は奥さんや子供を連れてドライブしたいそうです
だから貯金がしたいんですって
腐女子なので正直ランボルギーニだかボラギノールだかよくわかんないんですけど、たぶん彼の夢は男の子の至極当然の憧れというか、勝ち組人生でしょう
とても数千円でアニメキャラクターのクッションを買って好き♡とか言っているオタクには届かない勝ち組人生です
だけど、そんな彼が行くような風俗店みたいな値段の缶バッジなのがわたしの大好きな大好きな轟くんなわけで
よくわかんないけどなんかすごくないですか?
彼は風俗に通わず、轟くんの缶バッジを買っていれば見栄や体裁や性欲にとらわれることがなかったかもしれない
というか普通の人の感覚からしたら、缶バッジなんかくだらなくて、ゴミになるから、そんなの買うなら風俗に行くのかもしれない
でも、私も轟くんもランボルギーニに乗る必要もなんてない
何が言いたいのかわかんなくなってきたんだけど、オタクグッズってばからしいけど、一般人の考える幸せに必要なお金ほどは私はお金かからないんじゃないか?って話
轟くんはたぶんランボルギーニキャッシュで買えるくらいのプロヒーローになると思う
でも轟くんが週末に行きたいところはお母さんの病院だし、いや、轟くんが立派なヒーローになる頃はきっとお母さんを病院から連れ出しているから、お母さんをランボルギーニに乗せて週末はドライブしてるかもしれない
でも別にランボルギーニじゃないかもしれない
わかる?好きなんだけど
むかし好きだった男の子に誘われたらいつでもいけるようにって私はお財布にお金を入れてた
割り勘じゃなくって全額払ってもいい、もはやお金あげてもいいって思ってた
だけどそんな一夜の値段で轟くんの等身大タペストリーは買えてしまう
いまだったら私は「その男の子と一晩過ごす権利」か「轟くんの等身大タペストリー」のどちらか差し上げます、と言われても轟くんの等身大タペストリーを選びます
なんでなんだろう
生きてる男の子と幸せになれる方がきっとたぶん幸せなはずで、ずっと好きだったはずの子なのに
轟くんの等身大タペストリーは永遠なんだよ
経年劣化しても、埃かぶっても
轟くんのことが好きで、好きで、好きで、可愛くって
でもそういうチンケな言葉は好きだった男の子にも散々投げかけてた
だけど轟くんに対して思う「可愛い」とその男の子に対して投げかけた「可愛い」はどこか違う気がして
ていうか同じにしたくないし、なんならもうその子とすごした夏の夜も、深夜に二人で手を繋いで歩いた虫刺されもぜんふ全部いらないんだよね
私はその子と過ごす一瞬一瞬を忘れたくなくて、大学生活の一生の思い出になるんだと思って尊んでた
だけど、「好き」を轟くんへの好きと同じにしたくなくて
轟くんが特別だから、それに追随するような感情なんてないと思うから、その子を好きだったという事実すらいまは邪魔で
好きだった男の子への記憶は薄れて行くけど
タペストリーも缶バッジもクッションもぬいぐるみもアクリルスタンドもポストカードも
経年劣化はしても変わらないから
今日も轟くんが好きでした